タイに住んでいる方なら知っているであろう単語の1つとして{キットゥン}が挙げられます。
キッ トゥン คิดถึง(kʰít tʰɯ̌ŋ)は英語ではmissと訳され、
キットゥン ター คิดถึงเธอ(kʰít tʰɯ̌ŋ tʰəə) ⇒ miss you
となります。
日本語では「恋しい」「愛しいと思う」という感じで訳されることが多いですが、
日本人があまり口にしない言葉ということもあり、miss youの方がしっくりくる感じがします。
今回は、そんな{キットゥン}にも使われている{キッคิด}の部分、「思う」「考える」という意味について見ていきます。
同義語としてよく使われる{ヌック นึก}との違いをはっきりさせましょう。
見出し
タイ語で「思う」「考える」
代表的な「思う」「考える」は2つあります。
キット คิด(kʰít)
ヌック นึก(nɯ́k)
タイ語初心者の方は、恐らく初めに{キット}を覚えることになるため、{ヌック}の存在を知らないという方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、タイ語を学習していれば早い段階で{ヌック}に出会うことになり、どう違うんだよ、となるはずです。
それでは、この両者はどの部分が異なるのでしょうか?
結論を言ってしまうと、両者は時制的なニュアンスに違いがあります。
2つとも現在形としての「思う」「考える」という意味を持っていますし、現在形としては同じ意味で利用することが可能です。
しかし{キット}のイメージが現在形に固定されているのに対して{ヌック}には過去の要素が備わっています。
文章で説明してもわかりにくいと思いますので、様々な表現を使って体感していきましょう。
「思う」と「思っていた」の違い
キッ ワー A คิดว่า A(kʰít wâa A) ⇒ Aだと思う
ヌック ワー A นึกว่า A(nɯ́k wâa A) ⇒ Aだと思っていた
{ヌックワー}はAだと思っていたけど実際は違ったというニュアンスになります。
ちなみに、{ワー}に関してはว่า ワー の使い方をご覧ください。
彼はタイ人だと思うよ ⇒ ポム キッ ワー カオ ペン コン タイ
ผมคิดว่าเขาเป็นคนไทย(pʰǒm kʰít wâa kʰǎo pen kʰon tʰai)
彼はタイ人だと思ってたよ ⇒ ポム ヌック ワー カオ ペン コン タイ
ผมนึกว่าเขาเป็นคนไทย(pʰǒm nɯ́k wâa kʰǎo pen kʰon tʰai)
明日はテストがあると思うよ ⇒ キッ ワー プルン ニー ラオ ミー ソープ
คิดว่าพรุ่งนี้เรามีสอบ(kʰít wâa pʰrûŋ níi rao mii sɔ̀ɔp)
明日はテストだと思ってたけど先生が入院したからなくなった ⇒
ヌック ワー プルン ニー ラオ ミー ソープ テー クルー カオ ローンバーン ルーイ マイ ミー レーオ
นึกว่าพรุ่งนี้เรามีสอบแต่ครูเข้าโรงบาลเลยไม่มีแล้ว
(nɯ́k wâa pʰrûŋ níi rao mii sɔ̀ɔp tɛ̀ɛ kʰruu kʰâo rooŋ baan ləəy mâi mii lɛ́ɛw)
カオ ローン バーン เข้าโรงบาล(kʰâo rooŋ baan) ⇒ 入院する
ローン バーン โรงบาล(rooŋ baan) ⇒ 病院(ローン パヤー バーン โรงพยาบาล(rooŋ pʰa yaa baan)の略語)
ルーイ เลย(ləəy) ⇒ だから
※ルーイเลยの意味と使い方参照
「思う」の否定について
マイ キッ ワー A ไม่คิดว่า A(mâi kʰít wâa A) ⇒ Aだとは思わない
マイ キッ ワー A ไม่คิดว่า A(mâi kʰít wâa A) ⇒ Aだと思ってなかった
マイ ヌック ワー A ไม่นึกว่า A(mâi nɯ́k wâa A) ⇒ Aだと思ってなかった
マイ ダイ キッ ワー A ไม่ได้คิดว่า A(mâi dai kʰít wâa A) ⇒ Aだと思ってなかった
ちょっとたくさんあってよくわからないかもしれませんが、
要するに、現在の「思っていない」という否定には{マイ キッ ワー}を利用します。
「思ってなかった」と言いたい時には、下の3つのどれを使うことも可能です。
ただし、やはり過去のニュアンスを持つ{ヌック}を使用するか、過去形の意味を持たせることのできる{ダイ}を入れたほうが自然です。
彼がそんな人だとは思わないけど ⇒ チャン マイ キッ ワー カオ ペン コン ベープ ナン
ฉันไม่คิดว่าเขาเป็นคนแบบนั้น(cʰǎn mâi kʰít wâa kʰǎo pen kʰon bɛ̀ɛp nán)
彼がそんな人だとは思ってなかった ⇒ チャン マイ ヌック ワー カオ ペン コン ベープ ナン
ฉันไม่นึกว่าเขาเป็นคนแบบนั้น(cʰǎn mâi nɯ́k wâa kʰǎo pen kʰon bɛ̀ɛp nán)
元カノと会うとは思ってなかったよ ⇒ マイ ダイ キット ワー ジャ ジュー ガップ フェーン ガオ
ไม่ได้คิดว่าจะเจอกับแฟนเก่า(mâi dai kʰít wâa càʔ cəə kàp fɛɛn kào)
「思いつく」と「思い出す」の違い
キッ オーク คิดออก(kʰít ɔ̀ɔk) ⇒ 思いつく
ヌック オーク นึกออก(nɯ́k ɔ̀ɔk) ⇒ 思い出す
{オーク ออก}には「出る」という意味があり、双方とも直訳すると「思って出す」となります。
{ヌック}に過去のニュアンスがあるため、既に過去に体験していることを「思う」「考える」ことになり、
それが「出る」ということになるため、「思い出す」が正しい表現となります。
一方で{キット}には過去どうこうというニュアンスがないため、現在進行形で「思う」「考える」ことを「出す」ことにより、「思いつく」となるわけですね。
思いついた! ⇒ キッ オーク レーオ คิดออกแล้ว(kʰít ɔ̀ɔk lɛ́ɛw)
思い出した! ⇒ ヌック オーク レーオ นึกออกแล้ว(nɯ́k ɔ̀ɔk lɛ́ɛw)
何を質問すればいいか思いついた ⇒ キッ オーク レーオ ワー ジャ ターム アライ
คิดออกแล้วว่าจะถามอะไร(kʰít ɔ̀ɔk lɛ́ɛw wâa càʔ tʰǎam)
何を質問するか思い出した ⇒ ヌック オーク レーオ ワー ジャ ターム アライ
นึกออกแล้วว่าจะถามอะไร(nɯ́k ɔ̀ɔk lɛ́ɛw wâa càʔ tʰǎam)
ターム ถาม(tʰǎam) ⇒ 尋ねる
(私たちが)どうやってお金を稼げばいいか思いついたよ ⇒
キッ オーク レーオ ワー ラオ ジャ ハー グン ダイ ジャーク ナイ
คิดออกแล้วว่าเราจะหาเงินได้จากไหน
(kʰít ɔ̀ɔk lɛ́ɛw wâa rao càʔ hǎa ŋən dai càak nǎi)
彼がどうやってお金を稼いでいたか思い出したよ ⇒
ヌック オーク レーオ ワー カオ クーイ ハー グン ダイ ジャーク ナイ
นึกออกแล้วว่าเขาเคยหาเงินได้จากไหน
(nɯ́k ɔ̀ɔk lɛ́ɛw wâa kʰǎo kʰəəy hǎa ŋən dai càak nǎi)
ハー グンหาเงิน(hǎa ŋən) ⇒ お金を稼ぐ(探す+お金)
クーイ เคย(kʰəəy) ⇒ ~したことがある
※【助動詞】経験の過去เคย クーイ~したことがある参照
「思いつかない」と「思い出せない」の違い
上記の否定の形です。
否定を表す{マイ}は最初に持ってくるのではなく、「考える」と「出る」の間に入れます。
「考えても出てこない」というニュアンスになりますね。
キッ マイ オーク ワー A คิดไม่ออกว่า A(kʰít mâi ɔ̀ɔk wâa A) ⇒ Aを思いつかない
ヌック マイ オーク ワー A นึกไม่ออกว่า A(nɯ́k mâi ɔ̀ɔk wâa A) ⇒ Aを思い出せない
何を言えばいいのか思いつかないよ ⇒ キッ マイ オーク ワー ジャ プーッ アライ
คิดไม่ออกว่าจะพูดอะไร(kʰít mâi ɔ̀ɔk wâa càʔ pʰûut a rai)
何を言おうとしてたか思い出せない ⇒ ヌック マイ オーク ワー ジャ プーッ ワー アライ
นึกไม่ออกว่าจะพูดว่าอะไร(nɯ́k mâi ɔ̀ɔk wâa càʔ pʰûut wâa a rai)
また、{ワー}を使わない場合は、{マイオーク}の前に目的語を持ってきます。
歯が痛すぎて夕食のメニューが思いつかない ⇒
プワット ファン マーク ルーイ キッ メーヌーアーハーン イェン マイ オーク
ปวดฟันมากเลยคิดเมนูอาหารเย็นไม่ออก(pùat fan mâak ləəy kʰít mee nuu aa hǎan yen mâi ɔ̀ɔk)
顔は覚えてるのに彼の名前が思い出せない ⇒ チャム ナー カオ ダイ テー ヌック チュー カオ マイ オーク
จำหน้าเขาได้แต่นึกชื่อเขาไม่ออก(cam nâa kʰǎo dai tɛ̀ɛ nɯ́k cʰɯ̂ɯ kʰǎo mâi ɔ̀ɔk)
キットゥンとヌックトゥンについて
キッ トゥン คิดถึง(kʰít tʰɯ̌ŋ)
ヌック トゥン นึกถึง(nɯ́k tʰɯ̌ŋ)
冒頭に触れたmiss youの表現ですが、これに関してはどちらを使っても同じような意味になります。
{トゥン}は「到達する」「達する」という意味を持つことから、
「思い」「考え」が「到達する」⇒「思い出す」「思いつく」「恋しいと思う」という感じになります。
この歌を聴くたびに母のことを思い出す ⇒
ファン プレーン ニー ティー ライ ゴ ジャ キットゥン メー トゥック ティー
ฟังเพลงนี้ที่ไรก็จะคิดถึงแม่ทุกที(faŋ pʰleeŋ níi tʰii rai kɔɔ kʰít tʰɯ̌ŋ mɛ̂ɛ tʰúk tʰii)
ファン プレーン ニー ティー ライ ゴ ジャ ヌック トゥン メー トゥック ティー
ฟังเพลงนี้ที่ไรก็จะนึกถึงแม่ทุกที(faŋ pʰleeŋ níi tʰii rai kɔɔ nɯ́k tʰɯ̌ŋ mɛ̂ɛ tʰúk tʰii)
Aティーライ B トゥック ティー A ที่ไร B ทุกที(A tʰii rai B tʰúk tʰii) ⇒ A すると必ず B
{キットゥン}の否定形にも軽く触れておきましょう。
{ヌック}もほぼ同じ意味と考えて問題ありません。
キッ マイ トゥン ワー A คิดไม่ถึงว่า A(kʰít mâi tʰɯ̌ŋ wâa A) ⇒ Aだとは思いもしない
下着を盗んだのが彼だったとは思いもしなかった ⇒
キッ マイ トゥン ワー コン ティー カモーイ チュッ チャン ナイ クー カオ
คิดไม่ถึงว่าคนที่ขโมยชุดชั้นในคือเขา
(kʰít mâi tʰɯ̌ŋ wâa kʰon tʰîi kʰa mooy cʰút cʰán nai kʰɯɯ kʰǎo)
ขโมย(kʰa mooy) ⇒ 泥棒、盗む
ชุดชั้นใน(cʰút cʰán nai) ⇒ 下着
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