タイ語を学習されている方にとって、自分のタイ語能力を客観的に評価できる「実用タイ語検定試験」は重要な目標になります。
本記事では、タイ語検定を受験しようと考えている方に向けて、各級の難易度、求められるレベル、合格率、試験日程、効果的な勉強法など、タイ語検定に関する情報を徹底的にまとめました。
タイ語検定とは?
タイ語検定は正式には「実用タイ語検定試験」といい、日本タイ語検定協会が主催している日本人のタイ語習得度合いを測ることができる唯一の公式検定試験です。
タイ語を学ぶ方にとって、自分の実力を客観的に知り、次のステップへ進むための重要な指標となります。
タイ語検定の受験レベルと種類
タイ語検定は全部で6つの級(レベル)があり、初級者から上級者まで幅広いレベルに対応しています。
5級 | 入門レベル(カタカナ・ローマ字表記で受験可能) |
4級 | 初級レベル(タイ文字の読み書きが必要) |
3級 | 中級レベル(日常生活での会話が可能) |
準2級 | 中上級レベル(一般的な業務でのコミュニケーションが可能) |
2級 | 上級レベル(翻訳・通訳が可能) |
1級 | 最上級レベル(ネイティブに近いレベル) |
各レベルの詳細な難易度については後述します。
タイ語検定の実施時期・日程
タイ語検定は毎年春と秋に行われますが、レベルによって実施時期・日程が異なります。
レベル別のテスト日程は以下の通りです。
- 5級、4級、3級:春季(6月初旬の日曜日)と秋季(11月初旬の日曜日)の年2回
- 準2級:春季(6月初旬の日曜日)のみの年1回
- 2級、1級:秋季(11月初旬の日曜日)のみの年1回
※ 具体的な試験日程は日本タイ語検定協会の公式サイトで確認できます。
また、社会情勢の影響などで開催時期が変更される場合もあります。
タイ語検定の試験会場
タイ語検定は以下の場所で受験できます。
- 東京
- 大阪
- 名古屋
- バンコク
タイ語検定の受験料
各級の受験料は以下の通りです。
- 5級:5,300円(2,000バーツ)
- 4級:6,300円(2,400バーツ)
- 3級:7,300円(2,800バーツ)
- 準2級:7,800円(3,000バーツ)
- 2級:8,500円(3,200バーツ)
- 1級:9,500円(3,600バーツ)
※ 受験料は変更される可能性があります。最新情報はタイ語検定公式サイトでご確認ください。
タイ語検定の申し込み方法
日本の試験会場の場合:
- 郵送出願
- 窓口出願
- WEB出願
バンコク会場の場合:
- 郵送出願のみ
願書はタイ語検定公式ホームページからダウンロードできます。
タイ語検定の合格通知方法
合格者には合否結果通知書と合格証書、不合格者には合否結果通知書のみが、試験日から約1ヶ月後に郵送されます。
タイ語検定のメリット
タイ語検定を受験する主なメリットは以下の2つです。
1. タイ語学習のモチベーションになる
語学学習は目標がないと続けることが難しいものです。タイ語検定の各級に合格することを目標にすれば、勉強を継続するモチベーションが生まれます。例えば、5級に合格すれば次は4級を目指すといった具体的な目標設定ができます。
また、試験日が決まっていることで、その日に向けて計画的に勉強を進める必要があるため、一種の強制力も生まれます。
勉強のモチベーションが続かないという方は、タイ語検定合格を一つの目標にしてみることをおすすめします。
2. 就職・転職時のアピール材料となる
タイでの就職・転職活動では、英語またはタイ語のスキルが求められることが多いです。タイ語検定の資格を持っていれば、履歴書に記入できるだけでなく、自分のタイ語能力を客観的にアピールすることができます。
特に英語よりもタイ語が得意な方は、タイ語のスキルを伸ばしてタイ語検定の資格を取得することで、就職・転職活動での大きな武器になります。
タイ語検定各級の詳細と難易度
それでは各級の詳細、難易度、必要な勉強時間などについて見ていきましょう。
実用タイ語検定5級
タイ語検定5級概要
- 実施時期:春季(6月初旬)と秋季(11月初旬)の年2回
- 試験内容:筆記60分+リスニング約10分
- 回答方式:マークシート
- 合格点:100点満点中70点以上
- 合格率:約65〜70%(2021年春季は67.8%)
タイ語検定5級の難易度とレベル
5級はタイ語検定の入門レベルです。タイ文字が読めなくても受験可能で、問題はカタカナ発音表記とローマ字発音表記の併記で出題されます。
入門レベルの文法知識と語彙をカタカナ発音表記またはローマ字発音表記で習得し、それらを用いて表現できること。ゆっくりであれば8単語程度までの簡単な文章の聴解と発音ができる。挨拶や自己紹介、意思表示が可能なレベル。(カタカナ発音表記とローマ字発音表記の併記で出題)
タイ語検定5級に求められる能力
- 基礎的な語彙力
- 基礎的な文法力
- 基礎的な聴解力
タイ語検定5級合格の目安となる勉強時間
タイ語を全く勉強したことがない方でも、約30〜50時間の勉強で合格可能です。
実用タイ語検定4級
タイ語検定4級概要
- 実施時期:春季(6月初旬)と秋季(11月初旬)の年2回
- 試験内容:筆記60分+リスニング約10分
- 回答方式:マークシート
- 合格点:100点満点中70点以上
- 合格率:約70%(2021年春季は71%)
タイ語検定4級の難易度とレベル
4級は初級レベルであり、タイ文字の読み書きが必須となります。5級との大きな違いは、タイ文字が読めなければ解答できない点です。
初級レベルの文法知識と語彙をタイ文字で習得し、それらを用いて表現できること。ゆっくりであれば10単語程度までの簡単な文章の聴解と発音ができる。簡単な会話が可能なレベル。
タイ語検定4級に求められる能力
- タイ文字を読む力
- 語彙力(約500〜800語程度)
- 文法力
- 会話表現力
- 長文読解力
- 聴解力
タイ語検定4級合格の目安となる勉強時間
タイ文字の読み書きから始める場合、約100〜150時間の学習が必要です。
実用タイ語検定3級
タイ語検定3級概要
- 実施時期:春季(6月初旬)と秋季(11月初旬)の年2回
- 試験内容:筆記60分+リスニング約15分
- 回答方式:マークシート
- 合格点:100点満点中70点以上
- 合格率:約30%(2021年春季は27.8%)
タイ語検定3級の難易度とレベル
3級は日常生活に必要な中級レベルであり、合格率が大きく下がることから、4級から3級への難易度の上昇は相当なものと言えます。
日常生活を送るのに必要な中級レベルの文法知識と語彙を習得し、それらを用いて表現できること。短い文章の読解・聴解・記述・口述ができる。日常生活においてタイ人と意思疎通が可能なレベル。
タイ語検定3級に求められる能力
- 語彙力(約1,500〜2,000語程度)
- 文法力
- 会話表現力
- 読解力
- 聴解力
タイ語検定3級合格の目安となる勉強時間
4級取得後、約200〜300時間の追加学習が必要です。
実用タイ語検定準2級
タイ語検定準2級概要
- 実施時期:春季(6月初旬)のみの年1回
- 試験内容:筆記60分+リスニング約20分
- 回答方式:記述式
- 合格点:100点満点中70点以上
- 合格率:約35%(2021年春季は36.9%)
タイ語検定準2級の難易度とレベル
準2級は中上級レベルであり、この級から記述式への変更が大きな特徴です。タイ語を書く能力が必須となります。
社会生活を送るのに不可欠な中上級レベルの文法知識と語彙を習得し、それらを用いて的確に表現できること。やや長い文章の読解・聴解・記述・口述ができる。一般的な業務や職務においてタイ人との意思疎通が可能なレベル。
タイ語検定準2級に求められる能力
- タイ語を書く能力
- 作文能力
- 語彙力(約3,000語程度)
- 文法力
- 会話表現力
- 長文読解力
- 聴解力
タイ語検定準2級合格の目安となる勉強時間
3級取得後、約300〜400時間の追加学習が必要です。
実用タイ語検定2級
タイ語検定2級概要
- 実施時期:秋季(11月初旬)のみの年1回
- 試験内容:
- 一次試験:筆記60分+リスニング約20分
- 二次試験:対面口述式にて約40分間
- 回答方式:記述式
- 合格点:100点満点中70点以上
タイ語検定2級の難易度とレベル
2級は上級レベルであり、一般的なタイ語翻訳やタイ語通訳が可能なレベルです。2級からは対面口述式の二次試験が加わります。
社会生活を送るのに必要な上級レベルの文法知識と語彙を習得し、それらを用いて流暢に表現できること。高度な専門用語を含まない新聞記事・論説文・物語の読解、ニュース・アナウンスの聴解ができ、テーマに沿って論述することもできる。一般的なタイ語翻訳やタイ語通訳、語学としてタイ語を指導することが可能なレベル。
タイ語検定2級に求められる能力
- 高度な語彙力(専門用語、略語含む)
- 高度な文法力
- 流暢な会話能力
- 新聞記事・論説文の読解力
- ニュース・アナウンスの聴解力
- 論述力
タイ語検定2級合格の目安となる勉強時間
準2級取得後、約500時間以上の学習が必要とされています。
実用タイ語検定1級
タイ語検定1級概要
- 実施時期:秋季(11月初旬)のみの年1回
- 試験内容:
- 一次試験:筆記60分+リスニング約25分
- 二次試験:対面口述式にて約40分間
- 回答方式:記述式
- 合格点:100点満点中70点以上
タイ語検定1級の難易度とレベル
1級はタイ語検定の最高レベルであり、ネイティブに近いタイ語能力が求められます。専門的な内容の通訳・翻訳ができるレベルです。
標準的なタイ語を口語、文語ともに不自由なく使いこなし、タイ人と遜色なく自然かつ正確に表現できること。専門的な文献の読解と翻訳、司法行政、政治経済、商談契約に関する通訳ができる。全国通訳案内士の外国語筆記試験合格レベル。
タイ語検定1級に求められる能力
- ネイティブレベルの語彙力
- 完璧な文法知識
- 自然な会話能力
- 専門的な文献の読解・翻訳能力
- 司法行政、政治経済、商談契約に関する通訳能力
タイ語検定1級合格の目安となる勉強時間
2級取得後、1,000時間以上の学習、またはタイでの長期滞在経験が必要とされています。
タイ語検定合格のための勉強法
各級によって必要な勉強法は異なりますが、共通して効果的な方法をいくつか紹介します。
なお、受験される方の多い4級と3級の学習法などは以下にまとめています。
タイ語検定の効果的な勉強法
- 計画的に勉強する:試験日から逆算して計画を立てる
- 過去問を徹底的に解く:出題傾向を把握することが重要
- 弱点を集中的に強化する:自分の弱みを知り重点的に勉強
- リスニング対策:タイ語の音声を聴く習慣をつける
- タイ語を書く練習:準2級以上を目指す場合、タイ語を書く練習が不可欠
タイ語検定に使えるおすすめテキスト
各級に適したテキストを使うことで、効率よく学習を進めることができます。
- タイ語検定5級
- タイ語検定4級
- タイ語検定3級
- 「タイ語の基礎」
- 「実用タイ語検定試験過去問3級」
- タイ語検定準2級、2級、1級
また、タイ語のメモ帳でも「長文読解」「リスニング強化」「タイ語検定模試」など、テスト対策に使える動画を配信中。
タイ語検定過去問の活用方法
タイ語検定合格のためには、過去問題を解くことが非常に重要です。
過去問を解くことで、出題傾向を把握し、自分の弱点を知ることができます。
問題の入手方法
- 日本タイ語検定協会の公式サイトでサンプル問題を確認
- 書籍化された過去問題集を購入
- タイ語学校で過去問対策講座を受講
- タイ語のメモ帳検定
過去問を解く際のポイント
- 時間を計って解く:本番と同じ制限時間内で解答する訓練
- 解答後に徹底分析:間違えた問題の原因を分析し、同じミスをさける
- 繰り返し解く:同じ過去問を複数回解き、知識の定着を図る
- 苦手な分野を重点的に:弱点分野の問題を集中的に解く
実用タイ語検定試験ガイドまとめ
タイ語検定は、タイ語学習者にとって自分の実力を客観的に測る重要な指標となります。各級の難易度や特徴を理解し、自分のレベルに合った級から挑戦することをおすすめします。
- 初心者:まずは5級から始め、タイ語の基礎を固める
- タイ文字が読める:4級に挑戦し、基礎的な読解力を証明する
- 日常会話ができる:3級を目指して中級レベルに
- ビジネスで使いたい:準2級以上を目標にする
タイ語検定の合格を目指して勉強することは、タイ語学習のモチベーション維持にもつながります。試験日程を確認し、計画的に勉強を進めていきましょう。
タイ語検定についてさらに詳しい情報は、日本タイ語検定協会の公式サイトをご覧ください。
タイ語検定合格を目指す皆さんの学習が実り多きものとなることを願っています。頑張ってください!