最初に言ってしまうと、タイ語検定3級に合格するために重点的にやるべきは以下の4点です。
- 長文読解力の強化
- リスニング力の向上
- 語彙力の拡充
- 過去問演習
3級は4級からのステップアップとして多くの方が挑戦しますが、「合格率約30%」という難関。
しかし、適切な対策と計画的な学習で突破できるはずです。
このページでは、タイ語検定3級の合格を目指している方へ、効果的な勉強法と厳選したおすすめテキストをご紹介します。
見出し
タイ語検定3級の概要と難易度
タイ語検定3級は、「日常生活を送るのに必要な中級レベルのタイ語能力」を認定する試験です。
実施時期 | 年2回(春季:6月初旬、秋季:11月初旬の日曜日) |
試験会場 | 東京、大阪、名古屋、バンコク |
試験時間 | 筆記60分+リスニング約15分 |
回答方式 | マークシート |
合格基準 | 100点満点中70点以上 |
合格率 | 約25~30% |
求められるタイ語レベル
日本タイ語検定協会によると、3級は「日常生活を送るのに必要な中級レベルの文法知識と語彙を習得し、それらを用いて表現できること。短い文章の読解・聴解・記述・口述ができる。日常生活においてタイ人と意思疎通が可能なレベル」とされています。
3級と4級の違い
3級と4級では難易度に大きな差があります。主な違いは以下の通りです。
4級 | 3級 | |
語彙力 | 約1,300語程度 | 約1,700語程度 |
読解問題 | 比較的短い文章 | より長い文章、複雑な内容 |
リスニング | ゆっくりとした速度で2回 | 自然に近い速度で、長文を含む |
合格率 | 約70% | 約30% |
3級は「タイ語の壁」と言われることもあり、4級までの基礎レベルから中級レベルへのジャンプアップが求められる級です。
難易度が高いため、よりタイ語を理解しないといけません。
タイ語検定の出題形式
以下は、タイ語検定3級試験の出題形式例です。
筆記試験(全7問)
- 語彙力を問う単語穴埋め問題
- 語句の並べ替え問題
- 日本語文と内容が一致しないタイ語文を選択
- タイ語単語の意味を選ぶ問題
- 正しいタイ語の綴りを選ぶ問題
- 長文会話文の穴埋め問題
- 長文読解問題
リスニング試験(2問)
- タイ語の質問を聞いて、タイ語の選択肢から答えを選ぶ
- タイ語の長文を聞いて、5つの質問に答える
特に注意すべきは、リスニングの設問2では問題用紙に質問が書かれておらず、質問自体も聞き取る必要がある点です。
音声は2回流れますが、4級に比べてスピードが速くなっています。
タイ語検定3級合格のための4つの勉強法
3級合格に必要な勉強は大きく分けて4つあります。
- 長文読解力の強化
- リスニング力の向上
- 語彙力の拡充
- 過去問演習
これらを効果的に組み合わせることで、3級合格に必要な総合的なタイ語能力を身につけることができます。
それぞれの対策について詳しく見ていきましょう。
1.タイ語の長文読解力の向上
3級の大きな壁の一つが、設問6の会話文と設問7の長文問題です。
これらの問題は、かなりの量の文章を読まなければならず、制限時間内に終わらせるのが難しい場合もあります。
タイ語の長文読解力向上のポイント
1. 多読を習慣にする
- タイ語のニュース記事を毎日読む
- タイ語のブログや雑誌に触れる
- タイ語のSNS投稿を読む習慣をつける
とにかく、タイ文字で書かれた文章に慣れるのが大切です。
まずは短いSNS投稿あたりから始めるといいと思います。
2. 文章構造を理解する
- 文章内で単語の役割を考えながら読む
- 接続詞に注目して文の関係性を把握する
- 段落間のつながりを意識する
タイ語は基本のSVOの文章が接続詞などで複数続いて文章ができていたりします。
文と文の関係、よく出てくるような単語を意識すると全体が見えやすくなります。
3. 未知の単語への対応力を磨く
- 文脈から意味を推測する練習をする
- 重要な単語と補助的な単語を見分ける
- 全ての単語を理解しなくても文全体の意味を捉える訓練をする
どれだけ勉強しても、知らない単語というのは絶対に出てきます。
日本語の文章の中に知らない単語が1つあっても、周りの文脈から意味を推測できる方が多いと思います。
それをタイ語レベルでできるようになれば、難しい単語に出会っても落ち着いて対処できるようになります。
4. 同じトピックの記事を複数読む
- 似たような単語が出てくるため語彙力が確実に上がる
- 見たことがある単語が多いため読むスピードが上がる
- その結果、文章を読むのに抵抗がなくなる
例えば「円安」をテーマに書かれた記事はたくさんあります。
文章は違っても、内容が「円安」である以上、使われている単語は似てくるはずです。
複数の文章で同じ単語が使われていれば、繰り返し学習と同じ効果が得られるため定着しやすくなりますし、長文も読みやすくなります。
実際に、私はこの方法でタイ語の長文に対する苦手意識がなくなりました。
おすすめのタイ語長文読解教材
『中級タイ語総合読本―タイの社会と文化を読む』は長文読解対策に最適な教材の1つです。
各章に本文、会話文、表現解説、練習問題が含まれており、タイの地理や交通事情など試験に出そうなテーマを網羅しています。
音声CDも付属しているため、リスニング対策にも役立ちます。
2か月に1回くらいのペースで行っています。
事前に素材となる長文をお渡しするのでそれを読んでいただき、動画でその文章の解説を行います。
既に20ほどの長文を解説していますし、動画で1つずつゆっくり解説するためわかりやすいと思います。
2.タイ語のリスニング力の強化方法
3級では、リスニング問題の難易度が4級から大きく上がります。
特に、設問2ではタイ語で長文を聴いて質問に答える必要があります。
リスニング力強化のポイント
1. 自分の弱点を把握する
リスニングができない原因はさまざまです。
自己分析で以下の点をチェックしましょう。
- 語彙力は十分か?
- 発音や声調を正確に聞き取れているか?
- 未知の単語が出てきたとき、思考が止まってしまうか?
- タイ語を聞きながら日本語に翻訳している癖はないか?
特に、聞こえた単語をいちいち日本語にしていると間に合いません。
タイ語を聴きまくっていると、いつの間にかタイ語で聞いてタイ語そのまま理解する思考に変化します。
2. 多聴トレーニング
耳をタイ語に慣らすための「多聴」を実践。
- タイ語のYouTube動画を毎日視聴する
- タイ語のラジオや歌を聴く
- タイのドラマやニュースを見る
- 通勤・通学時間にタイ語音声を聴く
とにかく耳をタイ語に慣れさせることが重要。
そのために、まずはわからなくてもタイ語を聴きまくるのがおすすめです。
3. シャドーイング練習
聞いたタイ語をすぐに真似して発音する練習が効果的です。
- 短いフレーズから始める
- スピードよりも正確さを重視する
- 徐々に長い文章に挑戦する
- 発音と声調に特に注意を払う
知っている単語、短い表現であれば、タイ語でそのまま理解できる方も多いと思います。
กินข้าวหรือยังと聞かれたら、いちいち「ご飯食べた?」に訳さなくても「ご飯を食べたか聞いている」というのが瞬時に理解できるようなものですね。
4. ディクテーション(書き取り)
聞いた内容を書き取る練習も効果的です。
- 短い会話から始める
- 聞き直しながら少しずつ書き取る
- 書き取った内容を正解と照合する
- 聞き取れなかった部分を重点的に練習する
おすすめのタイ語リスニング教材
上述したテキストのCDを聴くなど、リスニング力を高める方法はたくさんあります。
しかし、正確なリスニング力を鍛える、タイ人の言っているスピードに慣れる、のがリスニング学習の最終目標なのであれば、以下もおすすめです。
タイ語のメモ帳でもリスニングのレッスンがあります。
日常会話やニュースなどのタイ人が実際に聞く動画を教材としているため、テスト用ではありません。
ただし、タイ語のメモ帳で取り上げているリスニング動画が普通に聞き取れるようになれば、テスト問題は簡単に感じるはずです。
3.タイ語検定3級レベルの語彙力強化法
3級では4級と比べて覚えるべき単語が格段に増えます。
タイ語検定単語集によると、5級が約900語、4級が約1,300語、3級が約1,700語とされており、4級から3級に上がるだけで約400語の新しい単語を覚える必要があります。
そして、そこには日常生活での使用頻度の低い難しい単語や長い単語も多く含まれています。
タイ語の語彙力強化のポイント
1. 計画的な単語学習
大量の単語を効率よく覚えるには計画が重要。
- 1日の目標単語数を設定する(例:20語/日など)
- 週ごとに復習日を設ける
- 覚えた単語を定期的に自己テスト
2. 覚え方の工夫
タイ単語を効率的に覚えるためのテクニックの活用。
- 語源や関連語との繋がりを意識
- カテゴリー別に単語をグループ化
- 文脈の中で単語を覚える
- 語呂合わせなど記憶術を活用する
おすすめは、文脈の中で文章を丸ごと覚えて単語の使い方まで定着させる方法です。
3. 実際に使う練習
覚えた単語を使う機会を作ることで定着率が上がります。
- 例文を作る練習をする
- 覚えた単語を使って日記を書く
- タイ語会話の機会があれば積極的に使用する
おすすめのタイ単語学習教材
『テストに出る順!タイ語検定単語集』は、過去に出題された頻出単語を収録しており、3級対策に最適です。
若干古めですが未だに売れ続けていますし、タイ語検定を運営するTLSから出版されているというのもポイントが高いですね。

タイ人の日本語検定用の単語集
タイ語検定に特化した単語帳ではありませんが、全ての単語が例文付きで紹介されています。
上述した、文脈の中で単語を覚えるのに適していますし、細かな表現まで載っているのでかなり使えます。
4.過去問を活用した実践的な対策
3級の試験形式や出題傾向に慣れるためには、過去問の活用が不可欠です。
タイ語検定過去問活用のポイント
1. 計画的な過去問演習(例)
過去問は以下のようなスケジュールで取り組むのが効果的。
- 試験2~3ヶ月前:1回目の過去問を解く
- 試験1~2ヶ月前:2回目の過去問を解く
- 試験1ヶ月前:3回目の過去問を解く
- 試験2週間前:最後の過去問を解く
2. 本番と同じ条件での演習
時間配分の練習も兼ねて、本番と同じ条件で解くことが重要です。
- 制限時間を厳守する
- 途中で辞書を見ない
- 静かな環境で集中して解く
3. 徹底した復習
解いた問題は必ず復習し、弱点を把握する(※最重要)。
- 間違えた問題の原因を分析する
- 初めて見た単語や表現をまとめる
- 苦手なパートを重点的に練習する
- 同じミスを繰り返さないよう対策を立てる
4. 反復演習
一度解いた過去問も時間を置いて再チャレンジ。
- 前回とは違うアプローチで解いてみる
- 時間を計測して速度の向上を確認
- 完全に理解できるまで繰り返す
おすすめの過去問・問題集
『実用タイ語検定試験過去問題と解答』シリーズは、タイ語検定の過去問で学習したいなら必須のテキストです。
Youtubeで本番の検定と同じような構成で問題を作っています。
4級相当・3級相当の模試問題を、毎年春と秋に作成し、動画で詳しく解説しています。
上述した過去問集には回答しか書いていません。「なぜ間違えたかわからないのが困る」という問い合わせが多かったので、タイ語のメモ帳がオリジナルで問題を作成し、動画で細かく解説を行っています。
タイ語検定3級におすすめテキストと参考書
3級対策に効果的なテキストと参考書をまとめました。
タイ語長文読解
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- 『中級タイ語総合読本―タイの社会と文化を読む』
- 長文読解とリスニングの両方に対応
- タイの文化や社会に関するテーマ別の内容
- 各章ごとに文法説明と練習問題あり
- タイ語のメモ帳・長文読解と解説動画
- ニュース記事や話題の記事を扱う
- 一文一文を単語・文法ごとに細かく解説
- 個別の疑問点はDMなどでアフターケア
- 『中級タイ語総合読本―タイの社会と文化を読む』
タイ語リスニング力アップ
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- タイ語のメモ帳・リスニング強化レッスン
- 日常会話からニュースの話題、SNSリスニングまでカバー
- 聞き取れるようになれば3級レベルは簡単に感じる
- ※タイ語検定用ではありません
- タイ語のメモ帳・リスニング強化レッスン
タイ語の語彙力アップ
-
- 『テストに出る順!タイ語検定単語集』
- 過去の出題傾向に基づいた単語収録
- 5級から3級までの単語をカバー
- 頻出順に掲載されている
- タイ人用の日本語検定単語帳
- 全て文章で単語を紹介している
- 何気ない細かい単語まで掲載している
- ※タイ語検定用ではありません
- 『テストに出る順!タイ語検定単語集』
タイ語検定過去問・問題集
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- 『実用タイ語検定試験過去問題と解答』
- 本番と同じ形式の問題
- 試験の全パートをカバー
- タイ語検定模試『タイメモ検定』
- 一問一問を全て解説
- 頻出問題を集めた実践さながらの問題
- 『実用タイ語検定試験過去問題と解答』
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タイ語検定3級合格のための学習計画
3級合格を目指すには、計画的な学習が不可欠。以下は6ヶ月の学習計画の例です。
6ヶ月前〜5ヶ月前:基礎固め期間
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- タイ文字の読みのスピードアップ
- 基礎語彙の復習と中級語彙の学習開始
- 『中級タイ語総合読本』の1〜5章を学習
- タイ語のメモ帳リスニング強化レッスン
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4ヶ月前〜3ヶ月前:知識を高める期間
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- 1日20語ペースで新出単語を学習
- 『中級タイ語総合読本』の6〜15章を学習
- タイ語のニュースや短い記事を読む習慣をつける
- タイ語のメモ帳リスニング強化レッスン
- 1回目の過去問にチャレンジ
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2ヶ月前:実践強化期間
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- 『中級タイ語総合読本』の16〜25章を学習
- 語彙の総復習を開始
- 2回目の過去問を解く
- 長文読解とリスニングを重点的に強化
- 弱点分析と対策
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1ヶ月前:総仕上げ期間
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- 3回目の過去問を解く
- 苦手な設問を集中的に練習
- 単語の最終確認
- タイ語ニュースやドラマで実践的なリスニング
- 本番を想定した模擬試験
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試験2週間前:最終調整期間
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- 最後の過去問を解く
- 間違えやすい単語の最終チェック
- リラックスした状態で学習を継続
- 睡眠と健康管理を重視
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よくある質問と回答
タイ語検定3級合格のためのまとめ
3級は確かに難関ですが、この記事で紹介した方法を着実に実践すれば合格に近づきます。計画的に学習を進め、タイ語の中級レベルへステップアップしましょう!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。皆様の合格を心より応援しています!