タイ語で「かわいそう」といえば、{ソンサーン}を思い浮かべる方もいます。
タイ語で「怖い」と言われて、{クルア}をイメージされる方も多いです。
しかし正式には、「かわいそう」は{ナー ソンサーン}、
「怖い」は{ナー クルア}となります。
一体、このナーน่า(nâa)とは何なのでしょうか?
ナーน่า(nâa)の役割
ナーน่า(nâa) + 動詞 ⇒ ~するに値する
ナーソンサーンน่าสงสาร(nâa sŏŋsǎan)=かわいそう
と覚えている方の中には、それが一単語だと思っている方もいるでしょう。
しかし実際は、
助動詞であるナーน่า(nâa)と動詞であるソンサーンสงสาร(sŏŋsǎan)がくっついているのです。
ちなみにソンサーンは「哀れむ」「かわいそうに思う」という動詞です。
つまりナーソンサーンは、
哀れむに値する ⇒ かわいそう となるわけですね。
あの犬はかわいそうだ ⇒ マー ナン ナー ソンサーン
หมานั้นน่าสงสาร (mǎa nán nâa sŏŋsǎan)
(私は)あの犬がかわいそうに思う ⇒ ソンサーン マー ナン
สงสารหมานั้น(sŏŋsǎan mǎa nán)
下の例文では、主語が抜けているだけです。
マー ナン ソンサーンにしてしまうと、
あの犬が何かのことをかわいそうに思っているとなってしまうため注意です。
「ナー + 動詞」について
動詞の前にナーを付けるだけで、「それをするに値する」
という意味を作ることができます。
しかし、~に値するという日本語訳は不自然ですので、
それに近い日本語を使って訳したほうがナチュラルです。
ナーキンน่ากิน(nâa kin) ⇒ 食べるに値する ⇒ おいしそう 食べたい
ナードゥーน่าดู(nâa duu) ⇒ 見るに値する ⇒ 見たい
何食べてんの?おいしそう! ⇒ キン アライ ロー ナー キン
กินอะไรหรอ?น่ากิน!(kin a rai rə̌ə nâa kin)
この映画見たくない? ⇒ ナン ニー ナー ドゥー マイ?
หนังนี้น่าดูไหม (nǎŋ níi nâa duu mǎi)
ナーラックน่ารัก(nâa rák)について
ナーラックน่ารัก(nâa rák) = かわいい と覚えている方も多いでしょう。
実際にこれが定着してしまっていますが、
愛するに値する ⇒ かわいい、かわいらしい
となるんですね。
同様に、
ナークルアน่ากลัว(nâa klua)で「怖い」という意味を持ちますが、
{クルア}単体だと「恐れる」「怖がる」という動詞になります。
このように、「~に値する」を意味するナーが動詞にくっついた状態が
一単語として認識されているパターンは少なくありません。
ナー + 動詞 ≒ ~したい
少々強引かもしれませんが、
「~に値する」よりも「~してみたい」と訳したほうがしっくりくることが多いです。
ナー パイ น่าไป(nâa pai) ⇒ 行ってみたい(行くに値する)
ナー ユー น่าอยู่(nâa yùu) ⇒ 住んでみたい(住むに値する)
ナー ティアオ น่าเที่ยว(nâa tʰîaw) ⇒ 遊びに行きたい(遊びに行くに値する)
しかし、日本語にそれに相当する訳があるのであれば、
一言で片づけた方がきれいです。
ナー ブア น่าเบื่อ(nâa bɯ̀a) ⇒ 退屈(飽きるに値する)
ナー クリアット น่าเกลียด(nâa klìat) ⇒ 醜い(嫌悪するに値する)
{ナークリアット}は他にも、「見苦しい」「みっともない」「気持ち悪い」
などのネガティブな意味も持っています。
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